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かぐや様は告らせたいファイナル感想「盛り上がらない薄味ラブコメ」

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ファイナル

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公開:2021年8月20日

監督:河合勇人

脚本:赤坂アカ、徳永友一

音楽:遠藤浩二

主演:平野紫耀(King & Prince)

   橋本環奈

原作:赤坂アカ(かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~)

配給:東宝、アカデミック・エース

 

 

 

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナルファイナル

本記事では「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦ファイナル」の感想を語っていきたいと思います。

なお、この記事では感想を書くに当たり、映画の核心に触れるので、まだ映画を視聴していない方は注意してください。

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©2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ©赤坂アカ集英社

出典:東宝オフィシャルサイト

 

あらすじ

本作の舞台は将来有望とされるエリートを集めた私立・秀知院学園。
物語はエリート校の生徒会長を選ぶ第68代生徒会長選挙での出来事の後のお話となる。
それに立候補した白金は生徒会長選挙で張り合った四宮かぐやとの関係にもんもんしていた。

 

白金と四宮は「告白した方が負け」と言う己のプライドにより常に相手を告白させてやると様々な作戦を使い、その勝敗をずっと競っていた。

そんな中、白金の進路先が決定してまった事で猶予が無くなってしまう。

白金御行は文化祭である作戦を決行、四宮との関係に決着をつけようとする。

 

原作第14巻までの内容

以上が、本作のあらすじとなります。

本作の映画の流れは大きく括ると、体育祭と文化祭編で構成されています。

アニメで言うと第2期まで、原作では、第14巻までの内容を落とし込んで一つの物語として作られています。

 

ファイナルでは、文化祭編で既存キャラと新規キャラの特徴と関係性を描き、かぐや様屈指の告白シーンが盛り込まれている文化祭編で白金と四宮との関係性に清算をしようという流れとなっています。

 

なお、原作、本編ではそれ以降も高校生活が続くのですが、本作では1作目からほぼ1年で二人の関係の決着が付いている事になります。

原作と比較するとかなり早い期間で決着をつけているのに驚き。

 

大幅変更された設定

本作映画は前作同様、原作と変更された点に触れていきたいと思います。

 

減らされた登場人物

まず、本映画での変更点は登場人物の人数です。

実写版の弊害と言うべきか、登場人物をかなりギリギリまで絞っているので、サブストーリーにあたるような物語が殆ど削られています。

このためメインストーリーが非常に分かりやすくなっていますが、どこか味気ないと思ってしまいます。

 

特に、学校に来れなくなった石田を連れ戻す展開。

展開は萩野にはめられた石田が自宅謹慎となり、それを会長たちによって救われるもの。

石田はこの事件によって人間不信が深刻になり、生徒たちの表情が見えない、見ることが出来なくなる事態になます。

事態を重くみた白金が独自に調査し、石田を救います。

ファイナルではそれを早回し展開で行われました。

 

本当ならば最後の石田の復活劇が非常に盛り上がるのですが、映画だとびっくりするほどの早回し展開で行われます。

その結果、原作やアニメと比較すると感動が薄く、まあ、良かったね、くらいにしか感じられないです。

 

また、これまで表情が見えなかった石田がリレー後で応援団のメンバーの顔をハッキリ見るシーンがあるが、ファイナルだとそういう演出が無かったぜ。
この石田の心境の変化を描写の演出がないから余計に石田の大きな変化を感じられないからだと感じたぜ。

アニメ演出は難しかったのか…?

 

縮小された文化祭

縮小された登場人物が影響して文化祭の展開が大きく変更されました。

文化祭編では、原作では様々なキャラの恋愛劇がありますが、映画では白金とかぐやの告白シーンにフォーカスされています。

 

原作では、つばめの石上への感情、風船に苦戦する白金を見かねて手伝う藤原、キャンプファイヤーを実現しようとする伊井野などの活躍があります。

が、映画ではそれらはワンシーンで済ますが、オールカットされています。

 

映画だけ見るととんとん拍子で進んでいくので順調ですが、原作を見ると見えないところで様々な登場人物が喜劇や悲劇に出会っている事が分かります。

全てを映画で再現すると冗長になるから全て拾えとは思わないが、個人的に不遇扱いと感じた伊井野ミコの話でも拾ってほしかったぜ。


この映画のいい点を挙げるならば、体育祭編、文化祭編が、原作通りとなっているところだと思います。

あらすじの感想は以上となります。

最低限の人数で進めたからイマイチ盛り上がらないね…。

 

新規キャラの活躍

続いて、今作で新たに登場した新規キャラがどんな活躍を見せたかの感想を語っていきたいと思います。

本作では、伊井野ミコ、子安つばめなどの新キャラが多数登場しました。

 

伊井野ミコ

一人目は、伊井野ミコ。

伊井野ミコは原作では白金との生徒会戦で敗れたのち、白金よりスカウトされたキャラでしたが、映画では、生徒会の憧れから一員となった設定へと変わっていました。

 

映画であるため、登場させる機会を無理やり作るならばこういう設定にしなければ飯野を登場させる機会が無かったんだと思います。

 

本来ならば、生徒会選挙でのプロセスがあるからこそ、飯野の生徒会への参加の熱意が伝わりますが、映画ではそのプロセスをすっ飛ばして登場させたため、飯野がただの生徒会オタにしか見えなかったです。

 

更に、悪いことに藤原書記への忠誠心、石上の嫌悪などの設定はそのままなので、映画だけ見ても正直ミコのやりたい事が伝わらないな、と思いました。

 

主要ストーリー、ナシ!

また、新規キャラなのだから主役となるようなストーリーが用意されていると思いきや、特になし。

 

ほぼほぼ石上の過去編を描きたいがために持ってきたようなキャラクターで終わっていました。

せっかく、原作の伊井野の雰囲気を頑張って出していたのに殆ど活かされてないのはかなり残念。

 

あと、これは個人的に気になった点ですが、伊井野ミコの身長が思ったよりデカかったと感じました。

 

伊井野は低身長なのが売りなのにあの身長はちょっと大きいです。

演じた影山優佳の身長は154cmに対して、井伊野ミコの身長は147cm。

その身長差は7cm。

低身長キャラは低身長が何よりも大事。

 

石ミコ要素もナシ!

また、伊井野を語るならば石上との関係が描かれると楽しみにしていましたが、そんなものは無し。

石ミコが見たいがためにこの映画を見に行ったのに、それをしないのはかなり残念でした。

 

せいぜい石上の過去に触れる程度。

今後、スピンオフでもあれば二人の関係が描かれると思うが、映画では、展開が原作と大きく変わっているから、それもあまり期待できないなと感じます。

 

そんな伊井野ミコの唯一の活躍は文化祭編での藤原書記との捜査パート。

 

学際でばらまかれた挑戦状の謎を解くため、秀知院学園を大捜査します。

結局、メインストーリーを進めるためのストーリーにあたるので伊井野らしさはあまり感じられないと感じました。

 

原作を見ると捜査をするのは藤原書記のみ。

伊井野はその時間、学校周辺の見回りをしていましたが、映画ではそのような役割はなくなっています。

 

この事から藤原書記と行動を共にしたのは本来の展開にするとメインストーリーで確実にあぶれるためこのような展開へ変更したと感じられます。

 

ハッキリ言って役者の、登場キャラの無駄遣い。

うぷ主は伊井野好きなために、この扱われ方は酷いと思います。

マジで何のために登場させたの? …誰か教えて…。

 

子安つばめ

それに対して、子安つばめの扱いは超優遇。
演じるのはアニメ版の同キャラである子安つばめを演じる福原遥

 

本来、実写映画はキャラの見た目に違和感を感じる点が大なり小なりありますが、つばめにはそのような違和感を一切、感じませんでした。

この違和感を感じさせないのは演じる役者がアニメと同じと言う点が大きいからだと思います。


声がアニメと一緒と言う点はかなり大きいです。

 

つばめは体育祭で応援団の一員として石上を引っ張っていきます。
過去のわだかまりをもった石上に対して、明るく接するつばめはまさに石上の女神です。

ついに、石上はこの事によりつばめに好意を持ってしまいます。
これは惚れない方が難しい。
終盤となる文化祭で石上がハートのキーホルダーを渡してつばめとハッピーエンドしました。

伊井野ミコは戦わずして敗北するのだった。

 

その他の新規キャラ

他にも応援団長の風野や石上を陥れたアルト社長などの新キャラが登場していました。

 

公式サイトはまるで主要人物の一人として扱われていますが、蓋を開けてみると、そこまで重要な役回りをしている様子はなく、石上の引き立てとして役の印象が強いです。

確かに、いないとストーリーが回らないのは分かりますが、新規キャラと言うだけで公式サイトに載っているだけと思うとちょっと悲しい印象です。

 

新規キャラは全員見せ場があると思わせておいて結局、活躍があるキャラとないキャラの差が激しいです。


特に、個人的にお気に入りキャラである伊井野ミコは主要キャラで新キャラなのに主要ストーリーがガッツリ削られているから最後までこれと言った印象に残るシーンが皆無。

原作では文化祭でキャプファイヤーを実現させるために学校周辺の住民への理解を得るため一軒ずつ訪問するが、映画では完全にすっ飛ばされています。

 

白金とかぐやの告白シーンを描く方が大事だから、泣く泣くカットされたのだろうが、新キャラなのに専用ストーリーが用意されてないのはちょっと悲しいです。

 

対照的に同じ新キャラでもつばめは石田との関係性を描くためにミコと比べると活躍頻度が非常に高かったです。

同じ新キャラなのにここまで格差が広がっていると思うと、伊井野って何のために登場させたんだろうと強く感じてしまいました。

友達のこばちゃんはそもそもいない人扱い。

 

告白の行方は…?

そして、最後に白金とかくやの告白シーンの感想を述べたいと思います。

 

白金は文化祭で告白作戦を実行します。

その告白作戦は学際でちょっとした事件を引き起こし、かぐやを自分のいる場所へ誘い出すというもの。

 

原作との違いは、映画では事件を引き起こす人物が終盤まで伏せられていましたが、原作では白金が何か起こす事が少しずつ描写されていた点です。

これは、映画と原作で盛り上がるポイントが違うためこのようになったと思います。

 

また、原作ではかぐやは白金に深いキスをしますが、映画では普通のキスに変更されていました。

この変更点は当然と言えば、当然ですが、原作のかぐやの恋愛未経験さが垣間見れるが面白いところです。

流石にあれはやらなかったね…。

 

二人は海外留学へ…

告白した後に、白金は四宮も合格した大学へ一緒に進学しようと提案。

原作では、その後も学園生活が続くのですが、映画ではなんやかんやあって二人とも飛び級で留学することに変更されていました。

 

原作と同じく学園生活をすると、オチとして弱いため、思い切って改変したのだろうというのが感じ取られます。

 

二人の決着よりもこの作品をなんとか決着をつけようという制作者の意志の方を強く感じてしまってどうしようもないです。

この映画の重要なシーンであるが、原作のように白金とかぐやのやり取りがじっくり描かれていないからどこか盛り上がりが足りないと思ってしまうぜ。

 

原作では、自分の評価を気にする、他の女子生徒と仲良くする姿に嫉妬する、つばめの恋心に感化されるなどの白金、かぐやの心理描写をこれでもかと盛り込んでいるため、最後の告白シーンが盛り上がる場面となっています。

しかし、映画では主に謎解きに重点を置かれているために二人の心理描写が半分程度になっていて原作と比較すると物足りなさを感じてしまいます。

 

原作でも同じく謎解きパートからの告白イベントまでの流れを行っているが、原作での謎解きは数ページで終わる程度で解決、次の回である136話まるまる使って告白するという構成にしているため、読んでいて非常にエモいものとなっています。

 

しかし、映画ではその後も描く必要があってか、原作のように1.5話使うのに対して映画では1話でそれらを片付けたたように感じました。

 

ぶっちゃけここまで押し込むなら白金が留学する場面はオールカットして告白するところで映画を完結しても良かったと感じました。

無理やりファイナルにしました

 

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦ファイナル まとめ

それでは、この動画のまとめとなります。

マンガ原作の実写映画は惜しいと感じる事が多々ありますが、この映画に関して言えば原作に忠実な点が多かったために原作崩壊とはならなかった点は良かったと思います。

しかし、原作に忠実でも、登場人物を映画の都合で激減させたことでサブストーリーが一切できなくなったのが悪かった点だと思いました。

 

また、登場人物が少ないとそれだけキャラの魅力を引き出すのはかなり難しいと感じます。

キャラを多くするとそれだけ物語が必要になり、なかなか本筋が進まないようにはなりますが、キャラ描写を濃くするには必要だと思います。

登場するキャラクターの人数は大事。

 

映画の題材となったかぐや様という作品は様々なキャラの言動や行動に白金とかぐやの二人が翻弄される作品なので、登場人物の数は意外と重要な作品となっています。

 

この映画では二人の恋の決着を重視しているため、キャラ描写をするには足りず、結局、メインキャラのみでとにかく話を進める事に力を注いでいました。

その結果、最後まで盛り上がりが足りない作品になったと感じました。

実写映画にしようとすると相性が悪いと作品だと思う。

 

逆に、アニメ作品として、映画を作るならばキャラの掘り下げは十分されている、視聴者の大半は作品のファンであるため、逆に大盛り上がり思想と感じます。

 

なお、この映画の物語の軸となった第14巻では実写版かぐや様の第1作目の宣伝がされています。

なんという偶然。

実写映画をちょい否定したところで本日の感想は以上です。