ポップコーンの音が響く

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科捜研の女‐劇場版‐ 感想「サイコパスVSサイコパス」

科捜研の女‐劇場版‐

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公開:2021年9月3日

監督:兼崎涼介

脚本:櫻井丈晴

音楽:川井憲次

主演:沢口靖子

   内藤剛志

配給:東映

 

 

 

科捜研の女‐劇場版‐

この記事では「科捜研の女‐劇場版‐」の感想を語っていきたいと思います。

本映画のキャッチコピーは「衝撃の"最終実験"、はじまる。」

なお、この記事には映画の核心に触れている個所があるので、まだ作品を鑑賞していない方は注意してください。

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©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会

出典:映画『科捜研の女 -劇場版-』公式サイト

 

あらすじ

京都の街で研究者たちが突然、飛び降り自殺を起こす怪事件が連続で発生した。

 

マリコをはじめとする科捜研はこの難事件の捜査を開始。

事件に巻き込まれた被害者たちを調べていくうちに次第に共通点を見つける。

京都県警はある人物に焦点を当て、事件の謎を突き止める。

 

そんなある日、榊マリコは犯人によって突如、襲撃を受けて―――。

 

舞台は京都

本映画はテレビシリーズと同じく京都県警を舞台となっています。

テレビシリーズの映画となるとテレビシリーズとは演出を大きく変えるか、舞台をいつもと違う場所にする事がありますが、この映画は演出も舞台もテレビシリーズと全く同じものとなっています。

 

テレビシリーズを視聴している観客にとってはテレビシリーズの延長線上として見ることが出来る印象でした。

 

逆に言えば、いつも通りすぎてテレビとどう違うだ、と思ってしまうと感じてしまうところがあると思いますが、初の映画なので、いきなり挑戦的なものを見せて科捜研じゃないと言われる可能性を考えるとこれが妥当なのかな、とも感じました。

 

それでも、映画なのでいつもより(多少)ワールドワイドな面を見せますが、申し訳程度。

あまりにも世界多発的な事件を起こすと事件というよりテロになって科捜研の枠を超えるからあれが精いっぱいなのかな、とも思います。

 

怪しい研究者たち

また、初の映画となるにあたって、登場人物の大半を研究者で固めています。

科捜研と言えば化学検証で事件を解決するのが特徴となっていますが、映画ではそれを強調するように様々な研究者が登場します。

 

テレビシリーズで登場する研究者は科捜研、風岡先生のみ、それ以外の登場人物は民間人となっているので、本映画に登場する研究者の人数は群を抜いています。

 

また、登場する研究者はわき役含め、大なり小なり曲者として描かれています。どの研究者もぼそぼそ喋ったり、挙動が怪しかったりなどと全員怪しい人ばかり。

研究者=怪しい人というイメージを完全に体現しているのに驚きました。

研究者全員、映画の犯人みたいでした。

 

本作の見どころ

さて、これより、もう少し映画の見どころと内容の深堀をしていこうと思います。

 

歴代キャスト大集合

この映画の見どころはやはり、シリーズ歴代キャストが集結する点です。

長寿番組となった作品の映画となるとこの特別演出をさせるとやはり強いなと感じます。

過去のテレビシリーズでも過去の主要キャラをゲスト主演させていました。

 

が、本映画はファーストシーズンで出演していた渡辺いっけいから始まり、シーズン11に登場した永田成哉までの過去キャストを大集結させています。

 

この集結具合は圧巻の一言。

ここまで大集結するとどんな事件も瞬く間にできそうな雰囲気しかありませんでした。

 

なお、これを書いているブログ主は2004年度から見始めているので、渡辺いっけいが実は出演していた事に最後まで気が付きませんでした。

ちなみに、半田健人と溝呂木賢はゲスト主演はしていなかった…。

 

最強の軍団

一見、敵対しそうな雰囲気を出しても最後は全員、京都県警の味方となります。

それぞれポジションから見えるビジョンで事件を解決してく様はそう快感を感じました。

 

特に、科捜研の元所長で父である榊伊知郎。

マリコと密に事件解決へ導く姿はかつてテレビシリーズで見せたやりとりそのままなのは頼もしくも微笑ましかったです。

 

そして、登場するゲスト出演達は次々にマリコに巻き込まれていきます。

これもお馴染みの展開となっていますね。

テレビシリーズを見ているといい感じに笑えるシーンになっていると感じます。

出来るならば乾くんについても触れてくれたら最高だったです。

 

そんな多数のゲスト出演する中、訳あって未登場だった乾健児に関しての記事は以下のリンクで詳しく記述しています。

 

新薬研究を巡って

さて、ここより映画の本筋に触れていきたいと思います。

本作は加賀野昌演じる佐々木蔵之介が開発した一つの新薬がきっかけで事件が起きます。

 

佐々木が開発したのはダイエット菌と言われる細菌を使った製薬。

見るからに名前から怪しい薬です。

 

このダイエット菌に触れてしまった被害者たちが突然、気をおかしくなってしまい、高所から躊躇いなく転落してしまいます。

 

映画で起きる事件の裏にはこのダイエット菌が関わっており、この薬品の成分が被害者を生み出す原因を探っていくのが、本筋となっています。

 

この薬品の副作用を暴くために科捜研は様々な検証を行います。

映画に登場する薬品は難攻不落の砦となっており、どの実験結果も決め手に欠けてしまいます。

細菌培養も空振り、成分分析も今一歩及ばず。

なかなかモヤモヤさせるぜ。

あそこまでやったらテレビシリーズなら犯人を追いつめるだけなのになあ…。

 

最終兵器 Spring-8

しかし、そこは科捜研。

あらゆる人脈をこき使って駆使して新薬の危険性を暴いていきます。

 

最後の決め手となっていたのはSpring-8

映画ならではの巨大施設をもってきたと思います。

 

Spring-8は太陽の100億倍の光を放つ放射光を使って物質を原子レベルまでに形と性質を調べる事が出来る施設となります。

ちなみにSpring-8の実例として、インフルエンザ新薬の開発、生物時計のたんぱく質の構造解析に使われます。

 

少し調べてみると分かりますが、非常に高度な実験のために使われるのが分かります。

それを一事件でこれを使えたところを見るにマリコさんのパワープレイの凄さを感じます。

 

襲われる真理子

そして、事件を追う中、真理子にもダイエット菌の魔の手が襲います。

ダイエット菌を浴びた真理子は体調不良を起こし、そして、最終的にこれまでの被害者と同じように高所から飛び降りてしまいました。

 

誰もいない状況であったため、本当にマリコさんさよなら?とマジで思いましたが、実はマリコさんが犯人を追いつめるために仕組んだ罠だったと明かされます。

こういう展開はテレビシリーズでも何度か行われていましたが、ここまで自分が危険に晒されることはありませんでした。

 

落下地点に安全マットが敷かれており、マリコさんの安全配慮されてましたが、落下地点がズレてたらと思うと…。

犯人よりマリコさんの方がヤベェよ…。

 

明かされる真実

この無謀な作戦によって一連の事件を起こした犯人が逮捕されます。

 

あらゆる証拠が佐々木を示していましたが、案の定、ミスリードでした。

真犯人は完全に別の人。

 

しかし、佐々木が完全に潔白と言う訳ではなく、本事件の犯人を生んでしまう原因を誕生させるきっかけを作っています。

 

佐々木は登場開始直後から芝居がかったセリフが多く、影響を受ける人が出そうな感じなのも納得してしまいます。

 

実際、ダイエット菌の研究に関わる研究員が誰一人として危険性を黙認していたのが分かりやすい例だと思いました。

もし、あのまま商品化していき薬品が出まわったら何人の人間が投身自殺したと思うと恐怖でしかないです。

 

結局、佐々木信者だった犯人は最後まで改心する事なく、逮捕される珍しいパターンとなりました。

最後の最後で苦しむのは因果応報。

最後の最後で苦しむのは因果応報。

 

科捜研の女‐劇場版‐まとめ

これより「科捜研の女‐劇場版‐」のまとめを語りたいと思います。

 

科捜研は制作20周年にして作られた劇場版はテレビシリーズそのままの設定とキャスティングとなっていました。

これによりテレビシリーズを視聴していた視聴者はこれまで通りの気分で映画を鑑賞する事ができると思います。

 

事件調査に前のめりなマリコさん、巻き込まれる風岡先生、解剖を許可しない本部長と驚くくらい変化をさせないで映画をつくったのだと強く思わせます。

 

映画の流れは洛北大学での第一の事件が起こり、次第に京都県警の関係者付近にも被害者が出始めるというもの。

 

はじめはひっそりと始まった事件が物語が進むにつれて次第に大きくなっていくのは

オーソドックスな展開ながらワクワクするものがあります。

東映らしい始まり方。

 

事件の主犯格として目星をつけられたのは佐々木蔵之介

スクリーンに登場した佐々木は服装から性格から何から何まで面倒くさそうな男です。

 

佐々木はダイエット菌を使ったやせ薬を制作、実用化を目標にしています。

実験施設は中央にビニールシートで作られたドームが鎮座しており、決まった時間に被験者にやせ薬を飲ませて、周りの研究者にデータ収集をしています。

 

その光景はまさに新興宗教団体のようで、佐々木のやる行為に一切、疑問を持たない姿はかなり不気味に映りました。

 

京都県警は佐々木の不正を暴くためにここら辺から過去キャラたちが総出演します。

 

シリーズ初期から見ていた視聴者ならば嬉しい演出です。

科捜研から卒業していったキャラクターが偉くなって再登場している人物が多く、時の流れを感じさせます。

 

彼らは事件解決のために全員の力を合わせてついに佐々木の隠していた事実を暴きます。

大量のゲスト出演させると誰か一人くらい活躍機会が少ないキャラが出てきてしまいますが、この映画に限って言えば全員に平等に登場機会があったのが嬉しいです。

相馬君は相変わらずお笑い担当だったね。

 

証拠を固めた京都県警が大事件を解決に導くためにマリコさんは危険な賭けを行います。

 

これまでも危ない事をしていましたが、飛び降り自殺するとは誰が思っただろうか…?

頭おかしいサイコパスには同じくらい頭おかしい行為をしなければ勝てないという事でしょうか?

 

この作戦は誰がどう見てもヤバイですがこの事実を知っているのが一握りで、それ以外の関係者に一切知らせてないのはもっとヤベェです。

どれだけマリコさんに毒されているんですか…?

 

そして、この行為を厳重注意で済ませてしまう京都県警の感覚も結構マヒってるなあ、とも思いました。

 

あと、映画本編を見終わった後で分かりましたが、キービジュアルが終盤におけるヒントになっていたんですね。

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©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会

出典:映画『科捜研の女 -劇場版-』公式サイト

これは映画を見ないと気づけない仕掛けでしょ。