ポップコーンの音が響く

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CUBE~一度入ったら、最後「登場人物、全員無能」【ネタバレ感想】

CUBE ~一度入ったら、最後

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監督:清水康彦

脚本:徳尾浩司

音楽:やまだ豊

主演:菅田将暉、ほか

原作:ヴィンチェンゾ・ナタリ(原作『CUBE』)

キャッチコピー:

「死の迷宮。生きて出られるか。」

 

配給:松竹

 

 

 

CUBE ~一度入ったら、最後

本記事では「CUBE ~一度入ったら、最後」の感想を語っていきたいと思います。

なお、本記事では映画のネタバレに触れているので映画をまだ鑑賞していない方はご注意ください。

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©2021「CUBE」製作委員会

出典:CUBE 一度入ったら、最後

 

あらすじ

後藤雄一が目を覚ますとあたり一面が四角い空間の中に放り出されいた。

部屋に限られたヒントを元に謎の迷宮「CUBE」を脱出すべく後藤は越智、宇野、甲斐、井出、安東と力を合わせて出口を目指す。

 

彼ら6人は果たして、無事に迷宮の出口を目指す事ができるのだろうか?

 

オリジナル版「CUBE」

ここで、オリジナル版の簡易的なあらすじも合わせて解説したいと思います。

 

オリジナル版「CUBE」はヴィンチェンゾ・ナタリを監督として制作された映画となります。

理由が全く分からぬまま、閉じ込められた共通点のない登場人物たちがトラップだらけの迷宮「CUBE」の謎を解きながら脱出を目指す映画です。

 

迷宮キューブは四角で囲まれた空間となっています。

どの部屋も同じ作りになっており、登場人物は全方位にある出入り口を使い、部屋を次々移動していきます。

 

入った先の部屋には何もない事もありますが、トラップが仕掛けられいる部屋が存在し、うっかり足を踏み込んでしまうとその餌食となってしまいます。

1997年に上映された「CUBE」をリメイクした作品となります。

 

原作者が完全サポートした映画

この映画を製作するにあたって原作者であるヴィンチェンゾ・ナタリをアドバイザーとしています。

本作を作るための力の入れようが感じられます。

 

本作は旧作に馴染みのある観客に配慮してか、原作者がいたためなのか、基本設定となる迷宮の設定やストーリー展開などの大筋などはほぼほぼ変更させていません。

 

四方の見た目が同じ空間に閉じ込められた登場人物、訳の分からないトラップ、部屋に刻まれた暗号などなど…。

 

そのため、オリジナル版を知っている旧作ファンなら当時の映画を彷彿させると思われ、知らない観客にとっては目新しいパニック映画として映ると思います。

ちなみに私は旧作は鑑賞していないです。

 

かつての名作が駄作へ…

さて、そんな名作をリメイクした本作ですが、かなりの駄作でした。

旧作を鑑賞していない私ですが、明らかにいろいろとおかしい作品と強く感じました。

 

詰まらねえと感じた点はいろいろとありますが、特に、強く感じたのは以下の3点となっています。

 

全員、役立たず

まず、一番ヒデェと思った点は登場人物が全員、役に立たないです。

極端な言い方となっていますが、迷宮脱出が目的をしているのに、誰もが非協力的になっていました。

 

心に闇を抱えた後藤。

訳の分からない状況に置かれてパニックまみれになる越智。

人見知りで大人を信じない宇野。

眺めているだけで何もしない甲斐。

闇雲に出口を探す井出。

脱出できない事に叫ぶことしかしない安東。

 

こうも分かりやすく全員が脱出できないだろうと思われるメンツになるのは逆にあっぱれです。

 

この映画はどうやって脱出できるかよりも、いかにしてトラップに引っかかってくれるかが重要な点になっています。

ある意味、こんなにも登場人物の能力が活かされないようにしたのはわざとなのかもしれませんが…。

 

無能な安東

特に、酷いのが会社役員と名乗る安東。

自分の置かれている状況が改善されない事に腹を立てる、すぐに人に八つ当たり、大声で威嚇するなど良いところが何もないです。

 

典型的なバブル期にのし上がった無能役員となっています。

正直、最初にトラップに掛かるのはコイツだと思っていましたが、後半までしぶとく生き延びていたのは驚きました。

 

そんな彼の最後は迷宮最大のトラップに掛かり死亡しました。

運命の分かれ道で最後の最後で間違った方向に走ったのはこれまでしてきた彼の悪行が祟ったのでしょうか?

安東さんはトラップに掛かって死にました(切実)。

融通の利くトラップ

続いて、酷いと思ったのは融通の利くトラップとなります。

 

迷宮キューブは脱出を阻む数々の死のトラップが仕込まれています。

罠は全て壁の中に仕込まれており、外見で見ても罠の有無は確認する事は出来ないです。

 

トラップは室内に入ると反応する仕掛けとなっており、入ったが最後。

避けるのはほぼ困難となっています。

 

罠の有無を見分けるポイントは出入口に書かれている9桁の数字に素数が含まれているかどうかで確認することが出来ます。

作中では、出入りする数字を侵入前に確認し、素数があるかどうかを確認していからか移動していました。

 

そんなヤバイトラップはなかなか融通が利いていました。

罠の仕掛けが発動するまでに時間がかかるもの、命中するまで時間がかかるものとなんか頑張れば避けられそうなものが目立っていました。

 

事前確認できる欠陥トラップ

また、どのトラップも侵入する前になにかアクションを起こすと次の部屋にある罠が反応して発動するのは登場人物にとってかなり優しいシステム(?)と感じました。

 

本映画では次の部屋に入る前に靴を投げ入れて何もなければ移動、トラップが動いたら別の部屋に移動することが出来ます。

正直、この設定が無かったら物語序盤から登場人物が全滅する恐れがあります。

 

しかし、キューブの目的上ではそっちの方がいいような気がしますが、このトラップの穴は登場人物たちの心身の衰退させるためにワザと放置しているのかもしれないですが…。

 

神回避する登場人物たち

登場人物たちは発動したトラップを謎の身体能力を発揮して初見であろう罠を何度も回避していきます。

 

見た目がいかにも運動できなさそう見た目であっても華麗にかわします。

迷宮キューブの製作者もこの神がかった回避能力は開いた口が塞がらなかったと思います。

レーザー地帯をかわしているのはもう笑うしかなかったぞ…!

ヤバイ人間たち

最後に酷い点として挙げるのは、登場人物が全員ヤバイという事です。

 

1点目と似ていますが、ただの無能だったらまだ良かったです。

全員が何かしらのヤバイ闇要素を抱えており、脱出の際にこれらが足を引っ張っていました。

 

迷宮キューブに取り込まれた人物は何かしら問題を抱えている人物しかいませんが、ハッキリ言って人間が一番のトラップだったなんて誰が思ったでしょうか?

 

トラップを回避しても様々な不安と憶測が募っていきどんどん険悪になっていき、連携もクソもありません。

全員がトラップにかかるのも時間の問題となっていました。

本編直後から全滅まで秒読み。

サイコパス越智

このメンツの中で特にヤバイ人物は越智真司。

本編開始直後から登場している彼ですが、彼は普段から被害妄想が強く、自分は世界から拒絶されていると考えています。

 

そんな彼が自称成功者の安東と組んだらさあ、大変。

彼の被害妄想が大爆発が爆発してしまい、安東を躊躇いもなく全力でチョメチョメしていきます。

 

いっその事、トラップ部屋に落として込んだ方がいくらかマシだったぜ…!

 

その行為で服が真っ赤に染まってしまいます。

越智は服を指摘された時、トラップのせいにしていましたが、かなり無理があると思います。

安東さんはトラップに掛かって死にました(2度目)。

迷宮を脱出できたのは…?(※ネタバレ注意!)

そんなヤバイメンツで突き進んだ迷宮もついに出口へたどり着けます。

 

迷宮を脱出した人物は宇野千春。

殆どの登場人物の年齢よりも一回り低い、子供を残虐行為に合わせるのはヤバイ、と言う点を合わせて考えると、実は登場人物を見れば一目瞭然となっています。

 

脱出に成功した宇野は一筋の光に向かって歩いていきます。

 

今回の映画で宇野を生き残らせたのは子供には明日への希望がある、と言う表現がしたかったのだろうと思います。

 

正直、宇野の他に主役である後藤も一緒に脱出できたらより希望感が溢れていたと思います。

 

宇野が今後、一人で強く生きていく、とも捉えられそうですが、ラストシーンでたった一人でどこかへ去っていく姿はちょっと寂しいと感じました。

 

個人的に後藤が隣にいた方がより明日への期待と希望があったと強く思いました。

 

なお、宇野が歩いて行った後、どんな未来が待っているかは劇中では描かれていません。

彼が行った先にはどんな未来が待っていたのでしょうか?

宇野千春は一人どこへ行く?

 

CUBE ~一度入ったら、最後まとめ

CUBE~一度入ったら、最後のまとめとなります。

 

本作は1997年に制作された「CUBE」を日本がアレンジした作品となっています。

原作者であるヴィンチェンゾ・ナタリをアドバイザーとして原作版の再現に力を入れています。

 

そのため、本作は日本版にアレンジする際に旧作に大幅な変更をあえてせずに原作の設定をそのまま持ってきています。

 

原作ファンからすれば当時の映画の雰囲気を楽しめる映画となっていると感じます。

 

本作の映画と当時と同じく、見た目の同じ空間を行き来する映画となっています。

当時は低予算で作られたB級映画でしたが、現在の流行り病が蔓延する状況ではそれを気にせずに撮影できるのがメリットとなったと思います。

 

登場人物は代り映えのしない空間を移動します。

観客には見た目が同じと感じさせないようにトラップや照明の色や明るさで別の空間に変わったと感じるように工夫されています。

バイラス星人の宇宙船と同じ工夫だね!

 

このように原作の要素を大事にして作られている日本版ですが、鑑賞していると当時の雰囲気を大事にしすぎて目新しさがないな、とも感じていました。

 

自分は当時の作品を鑑賞していないので何とも言えないですが、ウィキやレビューブログを読んで事前情報を得てから鑑賞しました。

 

そこから感じた点は当時の雰囲気を中途半端に取り入れていたなあ、と思いました。

 

特に、それを感じたのは登場人物の設定となります。

当時の登場人物は性格設定や役職や立場を十分設定されており、行動や思考を十分納得させられていました。

 

しかし、リメイクされた本作には、それらしい設定が本編で紹介されることがありませんでした。

そのため、各キャラクターが行動や思考をするのかが、描写されないため、どの登場人物も自己中心的なキャラにしか映りませんでした。

 

当時作の登場人物を比較すると本作の登場人物がどのキャラクターを意識して作られたのかが分かります。

 

が、それを知らないとただ単に記憶力の良い人、行動力のある人くらいにしか感じられません。

 

原作再現に力を入れているならばそこら辺の設定を煮詰めてほしかったと思います。

その他にも原作再現として冒頭と末尾は当時を連想させるシーンとなっています。

 

冒頭では柄本時生がキューブを探索してトラップに引っかかり死亡します。

キューブと言う作品がどんな作品で失敗するとどんな末路になるかを描写する役目を追っていました。

 

セリフもなく完全な端役なのでお役目御免になるかと思いましたが、主要人物のスタート地点の目印になるとは思わなかったです。

 

末尾では、当時作と同じく一人、迷宮を脱出して光のある方へ歩いていきました。

当時と同じく、行き着く先やその後にどうなったのかは明かされず、観客の想像に委ねるという形で映画は完結しました。

 

しかし、日本版で最後の最後で黒幕を描写する独自展開を取り入れていました。

原作版では続編でそれを描写していましたが、本作は続編を制作する予定がないのか、急にぶっこまれました。

 

これを入れる事でキューブに連れてこられる人間は何かしらの基準をもって連れてこられる、死亡しても問題のない人物なのだと分かります。

 

そして、そのような人間がいる限り、毎日、誰かが拉致されて死亡している。

その背景には何かしらの巨大な組織が運営、管理をしているのだと分かります。

 

ただ、これらが判明してもこの映画の問題は別にあるのでこれらが判明しても実は大して嬉しくないというのが本音。

 

ぶっちゃけ、この映画で足りないのはトラップを回避、模索するメインキャラクターの描写。

本映画はそれらの描写が一切、描かれないがためにキャラの感情移入が全くされず、トラップで死亡してもあまり悲壮感が全くありませんでした。

 

いつもならば登場人物は誰も死んでほしくないと感じてしまいますが、この映画に限って言えば、とむしろどんどん全滅しねーかなー、と思っていました。

汚物は消毒だーーー!

正直、このキャラ描写がしっかりしていれば新要素がなくとも十分に見れる映画となっていたのに本当に残念です。

今後、うっかり続編があったらそこをしっかり力を入れてもらいたいと思います。

本作の評価…★2です!