ポップコーンの音が響く

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妖怪大戦争ガーディアンズ感想「大魔神が主役な妖怪映画」

妖怪大戦争ガーディアンズ

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公開:2021年8月13日

監督:三池崇史

脚本:渡辺雄介

音楽:遠藤浩二

主演:寺田心

   神木隆之介

配給:東宝KADOKAWA

 

 

 

妖怪大戦争ガーディアンズ

本記事では妖怪大戦争ガーディアンズの感想を語っていきたいと思います。

キャッチコピーは「真(まこと)の勇気はあるか―――」。

なお、この記事には映画のネタバレに堂々と触れていくので、まだ作品を見ていない方は注意してください。

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©2021『妖怪大戦争ガーディアンズ

出典:東宝オフィシャルサイト

 

 

あらすじ

フォッサマグナに眠る太古の化石が巨大な妖怪である妖怪獣として現代に復活。
この異変に気が付いた日本妖怪たちは妖怪退治で名をはせた渡辺綱の末裔である渡辺ケイに白羽の矢を立てる。


そして、日本妖怪たちはケイの力を借りて将軍塚に眠る「大魔神」を蘇らせようと計画を立てる。
これに反対する隠神刑部はこの混乱に乗じて「あのお方」を復活させて破滅する未来を望もうとする。


この絶体絶命の中、ケイは日本の未来が託される。

 

大映作品のコラボ映画

以上が、本作のあらすじとなります。

あらすじから分かる通り、この映画の元ネタとなったのは大映映画製作である妖怪シリーズの「妖怪大戦争」と「大魔神」の内容を合作したような内容となっています。

 

具体的に、どの作品を意識し作られているかと言うと、登場妖怪の種類から見て1968年版の「妖怪大戦争」、1作目の「大魔神」をベースに作られています。

ガーディアンズでは過去作と差別化させる意味合いで、旧作の妖怪大戦争では西洋妖怪と日本妖怪との戦いだったのに対し、本作では日本妖怪同士の争いに重点が置かれています。

 

そのため、西洋妖怪の出番は妖怪同士の会議シーンくらいで殆ど映画の内容には影響していないです。
本作の西洋妖怪は日本の異変は日本妖怪のみで決着をつける、我関せずのスタンスを取っています。

旧作での西洋妖怪は日本妖怪を全滅させようとする危険な妖怪だったのに、本作に登場する西洋妖怪は全員、友好的なのがかなり驚きました。

 

吸血妖怪ダイモン

なお、旧作で登場した西洋妖怪は吸血妖怪ダイモン。

古代バビロニアより復活した異形の怪物となります。

炎や突風を引き起こす、分身、人に憑依する、60メートルにも巨大化するなどの特殊能力を持っています。

 

大魔神と同じスーツアクターのため、大魔神のような力強い目力を披露しています。

ガーディアンズでは大魔神妖怪大戦争のコラボと言われているが、実は、この作品で既に2作品はコラボしていたのです。

 

大魔神スーツアクターは橋本力。

 

人間に恨みを持つ妖怪

そんな友好的な西洋妖怪がいる中で驚いたのが、日本妖怪の中に人間に恨みを持つ妖怪が登場した事です。

こういうキャラクターがいると本来は日本妖怪VS凶悪妖怪のはずが、いつの間にか身内争いとなり、面倒くさくなる恐れがあります。

 

本作では隠神刑部がそれにあたります。

妖怪獣の復活を見過ごしたり、「あのお方」の復活を望んでいる等、黒幕のような立ち振る舞いをしていました。

 

最終的にはコイツを倒して終わりなのかな?と思いましたが、少し残念な感じを覚えましたが、最後まで見ていたらそんな事はありませんでした。

 

物語が進むほど隠神刑部のツンデレ要素が目立ち、最後は完全にデレる萌えキャラに変化しました。

もし、続編が決定したらかなり強い味方になりそうな気配がしました。 

 

主人公・渡辺ケイ

続いて、本作の主人公であるケイについて感想と解説を述べたいと思います。

 

妖怪ハンターの末裔

日本の危機に妖怪たちに選ばれたのは小学5年生である渡辺ケイ。

本作の主人公は、ある日肝試しに行った先にあったおみくじを引いたことで大魔神を復活させる役目を負いました。

 

彼は、かつて妖怪ハンターと呼ばれた血筋の末裔であり、本作の事件を解決する力を持っています。

ケイはよくある巻き込まれ系の主人公であるため、妖怪たちに囲まれた時に悲鳴を上げる、水龍の咆哮に怯える、狐仮面の女の試練に怯える等々、かなり頼りない部類の主人公になっています。

 

このため、目の前で起こる事象に対してたびたび怯えるので非常に先行き不安な印象だったぜ。

さっきまで普通の小学生だと考えると、これが普通なのだろうとも思います。

ケイはそんな訳も分からない状態で妖怪、大魔神、妖怪獣についてぬらりひょんから教わります。

 

純真無垢な子供に過酷な運命を背負わせようとするスタイル。

本作はあくまでケイ君が主役であり、最後には妖怪と戦う宿命となると分かっていても、味方によっては普通に考えると、格闘訓練もした事が無い小学5年生に全ての運命を託そうとする日本妖怪の無謀さを感じます。

 

大映映画の無茶ぶりは平常運転。

 

弟・ダイ

この説明で、ケイははじめは拒否しますが、そんな最中、ケイの弟であるダイが現れます。

その時、手に持っていたおみくじを持っていた事で日本妖怪たちは日本の危機を救う英雄だと全員で勘違いしました。

 

その結果、興奮した妖怪たちはダイをある場所へ連れて行ってしまいました。

厳選な方法で選んでいる割には妖怪たちの判定が甘々なのは酷いぜ。

 

勘違いでぬらりひょんの前に現れた弟であるダイがこの戦争に巻き込まれた事でついに踏み込まなければならなくなりました。

 

この妖怪たちの話の聞かなささはまさに大映映画らしい感じです。

ダイの説明不足もありますが、さすがに小学2年生に日本の運命を託すのは無謀すぎやしませんか?

いくら末裔であっても幼すぎます。

 

その騒動の最中、事を急ぐ日本妖怪はダイを大魔神が眠る将軍塚へすたこらさっさ。

移動の様子が人さらいのそれと一緒になっているぜ。 

 

この様子から日本妖怪たちの余裕の無さが伺えるね。

 

ケイVS茨木童子

ダイが妖怪同士の争いに巻き込まれた事でケイが重い腰を上げる事になりました。

ケイは怯えながらも弟を救いたいという一心で狐面の試練や隠神刑部に従う茨木童子の戦いを繰り広げます。

 

流石に、訓練ナシで妖怪と戦うのは無謀と考えたのか、狐面に渡された伝説の剣がサポートする形で戦う展開になりました。

 

妖怪よりも剣の方が強いように見えますが、伝説の剣だからしゃーないです。

また、主人公が小学生だから配慮したからか、あくまで脅威を退ける形で誰も殺さない形になったと思います。

 

普通のバトルマンガのように妖怪をバッタバッタと切り裂くのではなく、茨木童子との戦いが行われました。

 

いくら敵だとしても日本妖怪の仲間の一部だし、小学生が血生臭いバトルを見せても気分のいいものではないのでむしろこうしたのは正解なんだろうな、と思いました。

 

ついでに、茨木童子と戦う時に専用スーツへ変身しましたが、あのデザインは恐らく大魔神を意識したものだと思います。

 

大魔神vs妖怪獣

さて、ケイが茨木童子と争っている最中、ダイは妖怪獣を倒すために、禁断の魔神である大魔神の復活を試みようとしていました。

 

復活する大魔神

ここに来て、もう一人の主役妖怪が登場しました。

かつての大魔神が鎮座する場所は架空の場所にありましたが、本作の大魔神は実在する住所に存在します。

しかし、それでも人間社会で話題にされないのは、旧作のように近づく人間を幻覚で惑わす、妖怪しかたどり着けないようになっているからだろうと思います。

 

ダイは大魔神を復活させるために刀を突きさします。

旧作はお願いすれば復活していたのに、本作は物理的な方法に変更されました。

大魔神を復活させるのは恐らく自分の命を捧げる行為という事を表したかったのでしょうか?

また、刀を突きさした際、血のようなものが流れたのは、旧作のオマージュとなります。

 

55年ぶりの復活

復活した大魔神は永い眠りから復活。

旧作と同じくモチーフとなった埴輪に加えて炎の模様を全身にモールドされています。

目はかつてのような役者の眼ではなく、灼眼。

良い感じにリメイクされていて格好いいスタイルとなっています。

 

なお、体系は岡本次郎さんを彷彿させるようなややぽっちゃり。

55年もじっとしていたからでしょうか?

 

大魔神は妖怪獣との戦闘へ入るとお馴染みの右腕を翳すことで怒りフェイスへ変更。

復活直後に怒りフェイスになったのは、旧作と同じ流れを汲んで同じ流れにしたと思います。

 

しかし、ここでちょっと違和感が…。

旧作を見ると怒る対象が独裁者がやらかしている状態だったので違和感がありません。

本作も同じように怒りの対象がいるにはいましたが、その怒りの対象の暴挙が旧作と比較するとあまり描写されてないです。

 

結果、大魔神の怒りが何に向かっているのか旧作と比べるとどこかはっきりしないと感じました。

妖怪獣の暴走がじっくり描かれていたら大魔神の怒りシーンがしっくりきたと思いました。

 

妖怪獣の暴れるシーンがワンシーンだけって…。

 

復活した大魔神はダイはケイと妖怪獣の元へ。
ダイを肩に乗せて空を飛ぶシーン、超巨大な妖怪獣に対して立ち向かます
その後ろ姿は完全に正義のヒーローです。

 

大魔神は妖怪獣を倒すために帯剣を引き抜き、水龍の背に乗って一刀両断。
さっきまで苦戦していた妖怪獣を瞬殺て…。

 

妖怪大戦争なのに妖怪の出番、殆どないじゃん…。

 

怒り狂う妖怪獣

これにて一件落着…と、思いきや、それで終わる妖怪獣ではありませんでした。

妖怪獣はその姿を変えて巨大な龍へと変身。

 

流石に、これには大魔神も困惑。

なんか、大魔神はこの事態にムンクのような困惑フェイスを披露しました。

この姿と変身した事でますます妖怪たちのなす術が無くなりました。


絶体絶命と思ったとき、ケイは戦うのではなく、癒す事で妖怪獣の心を溶かす事を思います。

 

この方法は、相手の気持ちに寄り添えるケイだからこそ出来ること。
そして、それが本来の日本妖怪のやり方と知る日本妖怪たち。


このやり取りは前半の妖怪会議にて、チラッと触れられていましたが、まさか、ここに繋がるなんて思っていなかったので驚きです。

 

日本妖怪は武器を持たないという事は弱いのではなく、武器が無くても事態を解決する力をもった妖怪だと最後の最後に繋げるのは脱帽しました。

 

ケイたちは癒しの歌で妖怪獣を癒します。
その心に触れた妖怪獣はその身を崩していきます。
妖怪獣は結局、海には帰れなかったが、改めて自分たちを認識してくれた事で納得したのだな、と思いました。

 

大魔神怒る

続いて、妖怪獣との戦いの後の出来事の感想と解説をしたいと思います。

 

暴れるアラカツマ

これで事件も解決…と思ったら、最後の最後に大魔神が暴れます。

綺麗に終わったもんだから忘れていたが、大魔神は怒り心頭中だったな。
怒り狂う大魔神は周辺にいる妖怪を投げ飛ばしたり、蹴り飛ばしたりします。

 

事件が終わっても暴れる様は1作目のオマージュ。

あの時は村人だったが、今作では妖怪が完全なとばっちりを食らいます。

 

近くにいたお前が悪い。

 

頭を垂れる兄弟

この怒りを止めるために、弟であるダイが頭を下げます。

まさかの主人公よりも素早くスライディングゲザるをする姿は主人公よりも主人公らしいと思います。

 

これは怖いものなしの弟だから出来る技だと思うぜ。

そんな弟を踏みつけようとする大魔神に抵抗しようとすかさずダイが助けます。

ケイの行動はぱっと見、カッコイイですが、ダイと比較するとワンテンポ遅れてしまい、素直に素敵なシーンに感じれないのが残念。

 

飛び去るアラカツマ

それに倣って、妖怪たちも頭を下げます。

そうしてやっと大魔神はその怒りを収めました。

本作の大魔神は根に持つタイプなのだろうか?

 

大魔神はその体を崩壊させながらアラカツマが分離し、どこかへ去りました。

崩壊の仕方は原点である1作目と同じく砂になるパターン。

次回作があるならば、次は水になって消えるのかな?

 

妖怪事件を解決したケイと日本妖怪たち。

100体以上の妖怪がケイとダイに手を振りながら雲を渡っていきました。

このシーンはまんま旧作の妖怪大戦争と一緒ですね。

また、この時、隠神刑部のデレが全開します。

なに、このかわいいオジサン。

 

暗躍するアイツ

無事、事件は本当に解決。

その裏で崩壊する教室で加藤先生が黒板に門のようなものを不気味な笑顔で描いていました。

どうやら、前作主人公は本作では、黒幕ポジションで、「あのお方」がなんなのか知っているようです。

 

一応、タダシとは別人だとしても、前作主人公を悪者キャラにしていいのか?

ついでにあと、フォッサマグナがかラストシーンの伏線だったなんて、誰が思うぜ?

そして、ついさっきまで人間に期待していた隠神刑部への手のひら返しがはえーよ!

 

明らかに、この映画が上手くいって続編が出たら本性を出すのだろうな、と思いますが、かなり扱いが難しそうとも感じます。

妖怪よりも人間の方が怖い…!

 

 

妖怪大戦争ガーディアンズまとめ

これにて、妖怪大戦争ガーディアンズの感想と解説は以上となります。

 

これより後語りとなります。

仮に、続編が出来たら加藤先生の正体、そして、大魔神の続投がどうなるかが気になるところです。

 

妖怪大戦争は続編が制作があっても空白期間が長いから、今回と同じメンバーがもう一度集結するのはちょっと難しいと感じるところです。

なので、今と同じ空気感を出すには1年後くらいには次回作が上映されてほしいと思います。

 

また、最後まで「あのお方」と呼ばれる謎の存在。

封印されている門は巨大であるところから見ると妖怪獣と同等か、それ以上の巨大な存在なのかな?と思います。

 

そうなると誰も太刀打ちできなくなるので、それこそ大魔神のよりパワーアップが必要になりそうな予感がします。

また、今作での戦争シーンで妖怪の活躍があまりなかったので次回作ではちゃんとした活躍してほしいなと思いました。

 

これにて、妖怪大戦争ガーディアンズの感想と解説は以上となります。